障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、1974年(昭和49年)に国連障害者生活環境専門会議が「バリアフリーデザイン」という報告書を出したころから、この言葉が使用されるようになりました。
もともとは建築用語として登場し、建物内の段差の解消など物理的障壁の除去という意味合いが強かったのですが、現在ではより広く障害者や高齢者などの社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁を取り除くという意味でも用いられています。
要するにバリアフリーとは、みんなが楽しく幸せに安心して社会生活を送れる環境づくりということです。
誰でも年を取り、今年生まれた赤ちゃんも65年後には高齢者と呼ばれます。また健康な人でも不慮の事故や疾病で、今までは難なく利用していた交通機関や公共施設が階段、段差、狭い歩道、誘導案内の不備などの物理的障壁で利用できなくなるという可能性を持っています。このことを考えると、バリアフリーは障害者や高齢者など難渋を強いられている人達だけを対象としたものではなく、みんなが安心して社会生活を送れる環境を創造するみんなのための取り組みであることがおわかり頂けるでしょう。
さらに、私達の一日は住居にはじまり職場、学校、娯楽施設などに出掛け、一日が終われば住居に戻ります。
その間には移動に伴う移動手段や施設を利用し、また、余暇の時間には自由気ままな行動を起こします。これを考えるとバリアフリーは連続性を欠くと意味がありません。すなわち、職場や学校、娯楽施設などがバリアフリーであっても、交通機関がバリアフリーでなければ行きたくても行けないということです。歩道から駅の改札階、そしてホームまでをつなぐエレベータが設置されていても、そのエレベータの前にたどり着けなければ誰も利用することはできません。
不備として指摘される"点"を解決し、それぞれの "点"を線で結ばなければ「難渋を強いる状況をみんなが利用できるよう改善した」とはいえません。"点 "の整備をバリアフリーと呼ぶことがありますが、"線 "の整備を完結した時が真の意味でバリアフリーが実現されたといえる社会でしょう。